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隣から越境してきた枝
― 2023年の民法改正で、切れるようになりました

最終更新:2026年8月29日 / 運営:ミチアカリ制作所
「隣の木の枝がうちの敷地に入ってきている。切りたいけれど、勝手に切ったら怒られるのでは」——これは長年ずっとグレーだった問題でした。2023年4月1日の民法改正で、一定の条件を満たせば自分で切れるようになりました。ただし「いきなり切っていい」わけではありません。順番があります。

大原則:枝は「切らせる」、根は「切れる」

誰が切るか条文
が越境原則、木の所有者に切ってもらう民法233条1項
が越境自分で切り取れる(催告不要)民法233条4項
枝と根で扱いが違うのがポイントです。根は昔から自分で切れました。問題はいつも「枝」でした。2023年の改正は、この枝の行き詰まりを解消するためのものです。

自分で枝を切れる3つの場合(民法233条3項)

次のいずれかに当てはまれば、越境した部分の枝を自分で切り取ることができます。

  1. 催告しても切らないとき——木の所有者に「切ってください」と伝えたのに、相当の期間内に切除しない
  2. 所有者が分からないとき——所有者が誰か分からない、または所在が分からない
  3. 急迫の事情があるとき——台風接近など、待っていられない緊急の危険がある
「相当の期間」はおおむね2週間が目安とされています(法律に日数の定めはありません)。大きな木や、業者の手配が必要な木なら、もう少し余裕を見るべきです。翌日に切るのは「相当の期間」とは言えません。

実際の進め方

  1. 写真を撮る——越境の状況を日付が分かる形で記録します
  2. 所有者を確認する——空き家なら法務局で登記事項証明書を取得(オンラインで数百円)
  3. 書面で催告する——口頭でも法律上は有効ですが、後で「言った・言わない」になるため書面が確実です。日付・越境の状況・切除のお願い・回答期限を書きます
  4. 2週間程度待つ
  5. 切除する——越境している部分だけ。幹側まで切り込むのは行き過ぎです
隣地に入って作業する場合。枝を切るのに必要な範囲であれば隣地に立ち入れますが、あらかじめ目的・日時・場所・方法を通知する必要があります(通知が困難な場合を除く)。黙って入るのは避けてください。

切りすぎに注意

切っていいのは境界線を越えている部分だけです。ついでに樹形を整えようとして幹の側まで切ると、器物損壊や損害賠償の問題になり得ます。大きな枝、高い位置の枝、電線が近い枝は、業者に頼んでください。「自分で切れる」と「自分で切るべき」は別の話です。

費用は誰が払うか

本来は木の所有者が切るべきものなので、切除にかかった費用を所有者に請求できると考えられています。ただし条文に明記はなく、金額の妥当性が争点になり得ます。請求するつもりなら、見積書・請求書・作業前後の写真を必ず残してください。

越境した枝、業者に切ってもらういくらか確かめる

高所の枝、電線に近い枝、太い枝は素人が切ると危険です。まず無料見積で金額を確認しておくと、相手に費用を請求するときの根拠にもなります(東証上場企業運営・24時間受付)。

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よくある質問

隣の家から伸びてきた枝を、勝手に切ってもいいですか?
原則は木の所有者に切ってもらう必要があります(民法233条1項)。ただし2023年4月1日の改正で、①切除するよう催告したのに相当の期間内に切除しないとき、②所有者が分からない・所在が分からないとき、③急迫の事情があるとき、のいずれかに当てはまれば、自分で切ることができるようになりました(同条3項)。
「相当の期間」とはどれくらいですか?
法律に日数の定めはありませんが、一般には2週間程度が目安とされています。木の大きさや時季によって変わるため、余裕をもって設定するのが安全です。
越境してきた「根」はどうですか?
根は枝と扱いが違い、催告なしで土地の所有者が自分で切り取ることができます(民法233条4項)。ただし切ることで木が枯れて損害が出た場合に争いになることはあるため、太い根は慎重に判断してください。
切った費用は相手に請求できますか?
本来は木の所有者が切るべきものなので、切除にかかった費用を請求できると考えられています。ただし明文の規定はなく、金額の妥当性が争点になり得ます。請求する前提なら、見積書と写真を残しておいてください。
空き家の木で、持ち主と連絡がつきません。
「所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき」に当たれば、自分で切ることができます。登記簿を取って所有者を調べた記録を残しておくと、後で「調べたが分からなかった」ことの説明がしやすくなります。

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根拠:民法233条(竹木の枝の切除及び根の切取り/令和5年4月1日改正施行)/法務省・各自治体の解説資料