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倒木で隣家を壊したら誰が払う?
― 民法717条と「不可抗力」の境目
「台風で倒れたのだから、自分のせいではない」——通ることもあれば、通らないこともあります。分かれ目はたった一つ、「倒れる危険を事前に知り得たかどうか」です。腐って傾いていた木を何年も放置していたなら、台風はきっかけにすぎない、と判断され得ます。
根拠になる条文:民法717条(工作物責任)
土地の工作物の設置または保存に瑕疵(かし)があって他人に損害を与えたとき、その工作物の占有者が賠償責任を負い、占有者が必要な注意をしていたときは所有者が責任を負う、という規定です。
ここが重要です。717条の所有者責任は無過失責任と解されています。つまり「知らなかった」「悪気はなかった」では免れません。竹木の栽植・支持の瑕疵にも同条が準用されます。庭木は「放っておいてよい私物」ではなく、管理義務のある工作物に近い扱いだと考えてください。
「瑕疵あり」と判断されやすいケース
| 状況 | 評価されやすい方向 |
|---|---|
| 幹にキノコ、空洞、大きな裂け目があった | 瑕疵あり |
| 明らかに傾いていた/根元が浮いていた | 瑕疵あり |
| 枯れ木のまま何年も放置していた | 瑕疵あり |
| 近隣から指摘・要望を受けていた | 瑕疵あり(悪質) |
| 健全な木が、観測史上級の暴風で倒れた | 不可抗力の可能性 |
「近隣から言われていたのに放置した」が最悪のパターンです。危険を知っていた証拠が相手側に残っているため、不可抗力の主張はほぼ通りません。逆に言えば、被害を受ける側は「書面で伝えて記録を残す」ことが最大の備えになります。
失火責任法は使えるか
火事については「失火ノ責任ニ関スル法律」により、重過失がなければ賠償責任を負いません。ただしこれは失火の話で、倒木には適用されません。倒木は717条の世界です。「火事なら許されるのに」という感覚は通用しないと考えてください。
保険はどう動くか
| 立場 | 使える可能性のある保険 |
|---|---|
| 倒された側(建物が壊れた) | 自分の火災保険の風災補償。相手の責任を待たずに修理できることが多い |
| 倒した側(木の所有者) | 個人賠償責任保険。火災保険・自動車保険・クレジットカードの特約として付いていることが多い |
※ 補償の有無・範囲は契約により異なります。必ずご自身の証券と保険会社にご確認ください。
いま何をすべきか
自分の木が心配な場合
隣の木が心配な場合
- 写真を撮る(日付が分かる形で)
- 書面で所有者に伝える——これが後の全てを決めます
- 越境している枝は、条件を満たせば自分で切ることもできます
「危険かもしれない」で止まっているうちに、金額を知る
倒れてからでは、費用は伐採代では済みません。相手の建物・車・場合によっては人。まず無料見積で、いま切るならいくらかを確かめてください(東証上場企業運営・24時間受付)。
無料で伐採の見積を依頼する1本5,000円〜・見積後の追加料金なし秦野市の補助金(上限10万円)の対象確認は → 補助金ページへ
よくある質問
台風で自宅の木が倒れて隣家を壊しました。弁償が必要ですか?
民法717条の工作物責任が問われる可能性があります。木の設置・保存に瑕疵(腐朽や傾きを放置していたなど)があれば、所有者は損害賠償責任を負います。一方、健全な木が想定外の暴風で倒れた場合は不可抗力として責任を免れることがあります。分かれ目は「事前に危険を知り得たか」です。
火災保険で直せますか?
被害を受けた側は、自分の火災保険(風災補償)で建物の修理費が出ることが多いです。倒木させた側については、個人賠償責任保険に加入していれば賠償金がカバーされることがあります。火災保険や自動車保険の特約として付いている場合が多いので、契約内容を確認してください。
隣の木が倒れてきそうです。先に何かできますか?
写真を撮り、書面で所有者に危険を伝えて対処を求めてください。この記録が、実際に倒れたときに「危険を知りながら放置していた」ことを示す証拠になります。緊急の危険があれば、越境した枝は民法233条3項により自分で切ることもできます。
市に言えば切ってもらえますか?
民有地の木は原則として所有者の責任で管理します。ただし道路や公共施設に支障がある場合は市の担当課が関与することがあります。秦野市には危険木伐採等補助事業があり、要件を満たせば費用の2分の1・上限10万円の補助を受けられます。
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根拠:民法717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)/失火ノ責任ニ関スル法律/秦野市「危険木伐採等補助事業」